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飛行機が出す二酸化炭素量(NRT→JFKを例に) [科学。]

前回の記事で、生じる二酸化炭素量というものの表記を重量ではなく体積表記にすると、より一層、その量の多さが実感できるという事を述べた。

とりさん東京ニューヨークでどの程度二酸化炭素を発生させるか聞いてみたところ、消費する燃料は一人当たり130kgであるということを教わった。これを元に発生二酸化炭素の量を簡単に計算してみた。
すると、

東京 → ニューヨーク を飛行機で行く場合、一人当たりの発生二酸化炭素量は

403 kg

にもなります。

これはすさまじい量であります。体積に換算すると、20万5164リットルとなり、実に

お風呂1026杯分

の二酸化炭素量を排出するのです。
これは片道です。

正月休みでニューヨークに行っていたそこのアナタ。
意識してなくとも実に、お風呂2052杯分の二酸化炭素を発生させているのですよ。。。!?

恐ろしい。




計算の根拠

とりさんからいただいた、東京ーニューヨーク間の一人当たりの消費燃料 130 kgを元に計算している。
飛行機が使う燃料は、一般的に使用されている炭素数9~15のJet-A (成分的には灯油と同じ)と仮定し、十分な効率で完全燃焼していると考えて導出した。

Jet A (b.p. = 150 °C ~ 280 °C)の成分として

C9H20
C10H22
C11H24
C12H26
C13H28
C14H30
C15H32

が等モルだけ存在していると仮定。
平均分子量を C12H26の M.W.= 170.33とし、簡単のため燃焼式をC12H26に準拠させた。

燃焼式

この式を元にすると、ジェット燃料130 kgを消費すると、二酸化炭素は403 kg生じる計算になる。

403kgの二酸化炭素とはいったいどのくらいだろうか?
体積に換算すると、20万5164リットル (205,154 リットル)にもなります。
これはお風呂約、1026杯分の体積に相当します。

追記

燃料サーチャージの妥当性。
すこし高すぎのような気もします。

この区間をとりさんのデータをもとに考えると、130 kgの燃料は大体25ガロン分になります。つまり0.61バレル。今の市場価格がバレル100ドルとして考えても6100円前後と想像がつきます。
航空会社の燃料は大抵先物取引でしょうからもう少し安いはずです。
ケロシン(灯油やジェット燃料)の精製にコストがかかっても2倍や3倍にはなりそうもないのです。

乗客の燃料が130kg、その貨物を含めて大体が180kgとしても高過ぎです。
というか、本来、燃料は航空会社が経費として計上すべき物ものなので値上げ分だけ転嫁するならともかく、これじゃあ暴利って感じもしますが、色々あるのでしょうか?





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研究室での自殺について [科学。]

1週間以上前の話だが、東大の先端研で青酸カリを紛失する事件があった。

•東大の実験室で青酸カリなど盗難
http://tuf.co.jp/i/news/mori/0223/02231709.htm

試薬は25g単位で売っている事が多いので、記事にある25gというのは、販売元の瓶を開封せずにそっくりそのまま持ち去ったという事である。

さて、この事件を聞いてから、私は我が実験室でも毒物の取り扱いに殊更気をつける様になった。しかし、この事件を見てもそして自分の研究室を見ても、適切な位置に保管してあれば部外者がやって来て毒物を持ち去るのはほぼ不可能である。当該事件では教官の部屋に朝まで鍵があったことからまったくの外部の人間の犯行とは考えにくい。

東大の事件の真実は知らないが。僕ら毒物を管理する人間がいかに注意しても防ぐのが不可能なことがある。それは内部の人間の犯行だ。
いや、犯行という表現は正しく無いかもしれない。

毒物を盗む理由。
コレまでの見聞上、それは自分自身に対する服用が最も多いのではなかろうか?時に、卒業研究発表間際でもある。

そう、聞くと世間のひとは、「えっ?」、「そんなこと有るの?」と思う方が多いのではなかろうか?

しかし、実際、僕が属する化学科でもこの5年で知っているだけで二件の自殺未遂が起きている。そのうち1件は研究室内のストリキニーネ摂取によるものだ。
二件とも博士課程の学生であった。(二人とも今は後遺症無く元気)
だから、新聞やニュースでこういう事件をみると、あぁ、そうなのかなー。と勘ぐってしまう、が、特にめずらしい事でもない。

以前の記事にも上げたが、統計上は博士課程進学者の9%が死亡ないしは、行方不明になっている。博士課程進学者はかなりのものが奨学金をもらっているので進路については明確なことが多いにもかかわらず、この数字だ。

博士課程卒業生の進路、平成16年度

こういうのって、もちろん誰が悪いとも言えない。ただ、少子化の末の高学歴偏重主義の結果、課程をこなせば学位がとれると思っている学生と、学位に求められる人間像とのギャップ(博士課程は課程修了では卒業できない)や大学空間の異常なまでの閉鎖性(どんなに嫌な奴でも家族や恋人以上に長く一緒にいなくてはいけない)、そして再スタートを許さない、ドロップアウトした際に向けられる世間の厳しさ(博士ドロップ者は新卒でないのでマスター卒より厳しい視線が向けられる)がそれを助長していると感じる。



関連記事

博士課程•ポスドクの苦しさ (9%の高い死亡•自殺率)
http://blog.so-net.ne.jp/catenamas/post-doc-suicide

9%の数字の根拠

1.文科省データ http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo4/gijiroku/004/020501g.htm

2. まとめページ
http://www.geocities.jp/dondokodon41412002/index.html


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共通テーマ:日記・雑感

カオス的な街に魅かれる理由 [科学。]


(カオスの街。Hong Kong)

http://pht.so-net.ne.jp/photo/catenamas/albums/30005

多くの方がそう言う傾向があると思うが、ごちゃごちゃした生活感のあるカオスに魅かれる。

観光や遊びに行くなら整然としたニュータウンよりもゴミゴミした活気のある街に行きたいと願う人が多いはずだ。


私は、かねてよりその理由を探って来た。
というのも、私は科学でメシを喰う人間であり、整然とした美しい定理こそ価値のあるものであるという感覚が強いからだ。
誰にも踏みつけられていない定理、法則。
コレを見つけたときこそ至高の時間と言える。
しかし、一方で、新宿の様なゴミゴミした街にはたまらない魅力を感じるのも事実である。


この正反対と思われる両者。
つまり、整然とした自然法則を美しく感じ求めるこころと、ゴミゴミした街を探索する事。
これらは、実はほとんど同じである。コレを考える前に"カオス"についての正確な理解と誤解を解く努力をする必要が有る。
正確な意味でのカオス、混沌とはメチャクチャ、複雑とは同義でない。ましてや"ランダム"とは正反対の意味である。


カオスに関するWiki的解釈 → 


カオスとか混沌とは、非線形性によって規定されている複雑な現象をさすのであり、簡単に言うと、実はウラでしっかりとつながっている一見複雑な現象。ということになる。「風が吹けば桶屋が儲かる」もそういった非線形性を持ったカオスに一定の初期条件を与えた結果である。(下部の例を参照)


これは、サイエンスという学問そのものと同義である。つまり、複雑な系において初期条件から出て来た結果を鑑み、その非線形性について論じ、定義づける(あるいは、へりくつをこねる)というのが科学だ。


(*非線形性とは”パッと見わからないルール"と同義と考えて差し支えありません。)


話を戻します。香港や新宿のようなケイオティックな街に魅かれるのも同じ事ではないでしょうか?複雑な街、ゴミゴミしたその界隈は繋がっている何かがあるのです。それは"生活感"。生活感が全面にあふれる町だからこそ、そこに魅力を感じるのであって、人々の営みという事こそが街のカオスの非線形な共通項ということになるのです。だから、私は街を歩き、写真を撮り続けます。


アジアの幻想

(ケイオティックなネオン。Macau)



複雑な系 → 宇宙、地球環境、経済活動、1200万都市 など
初期条件 → ビッグバン、化石燃料の過剰消費、バブル経済、共働きの増加 など
結果 → 銀河と生命の誕生、地球温暖化、土地価格の下落、子殺し親殺しの増加 など

学問 → 物理、地学、化学、生物学、経済学、社会学 など


(最近作成したナノドット。直径600nm。こんな極小の世界でも非線形な規定が存在する。)


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ワールドカップの環境問題 [科学。]

"Climate Neutrality"というコトバをご存知でしょうか?訳すと「気候の中性化」となります。2006年ワールドカップはこのコンセプトが広がり始める最初のビッグイベントになるかもしれません。
地球規模での温室効果ガス(二酸化炭素)の発生拡大が懸念される昨今、この大会で発生すると考えられる温室効果ガス(二酸化炭素)と同じ量の二酸化炭素を別のところで削減しよう!というコンセプトです。
 ドイツのワールドカップオウガナイザーたちは今後おこなわれる12の都市で発生すると思われる二酸化炭素量を10,000トンと見積もっている。それは、スタジアム照明、世界中からやってくる人々の飛行機、スタジアム間の移動、関係各者の飲食、これらからでる二酸化炭素量である。オウガナイザー達は、現在それと同等の二酸化炭素の相殺を目標として南アフリカの下水からメタンガスを再生しそれを発電に利用するプロジェクトに参加する予定みたいです。
 このようなビッグイベントで取り組みは宣伝効果も大きく多くの人に温室効果を認知してもらえます。これまでのイベントでは環境問題どうのという事に関してはドンっとカネを投資することをアピールとしていた節がありますが、今後はどの程度の排出量が見積もられて、それにたいしてどのようにオフセット(相殺)してゆくかがイベンターとしての責務になる時代だと思います。
 もし東京でオリンピックが開かれるなら是非そのコンセプトをオリンピックに導入して欲しいものです。

外部リンク

http://greengoal.fifaworldcup.yahoo.net/en/news/details.php?id=88&flash=1


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村上春樹の百科事典棒とムーアの法則 [科学。]

近々、村上春樹氏がやってくるらしい。
大学の文学関係の教室が主催で講演会を開くらしく、個人的にすごく楽しみにしてます。(チャンスがあれば質問とかもしてみたいです。)

この情報は、同じラボの韓国人学生、孫さんに聞きました。氏は韓国、中国ではもちろん、最近では英語圏でも、数多くの出版がなされてます。ワシントンポストやNYTなどでも批評が載ってる様で、最近の新しい日本文学の潮流と言った感じで紹介されてます。(まあ、それほどアメリカ人は本を読まないんですが、、、)

孫さんも私に劣らず大の村上春樹のファンらしいです。
村上氏はかつて、わたしと同じケンブリッジ市に住んでいたらしく、ここボストンでは知り合いも多いのでしょう。

      

僕は村上春樹氏の小説が大好きです。特に初期の頃の小説がわたしの好みに合っています。その中で私のベストは"世界の終わりとハードボイルドワンダーランド"です。村上さんの著書でこの本だけは全く趣向が違うんですが(表現や比喩は村上ワールド全開です)私の評価はダントツです。

ストーリーココとかを参照して下さい。

前置きが長かったですが、今日はその中でも、"百科事典棒"に関するくだりを紹介します。
脳科学の博士が人間の深層心理における時間の観念は無限だと言う事を説明するために、出した比喩です。

「百科事典棒?」

「百科事典棒というのはどこかの科学者が考えた理論の遊びです。百科事典を楊枝一本に刻みこめるという説のことですな。どうするかわかりますか?」

「わかりませんね」

「簡単です。情報を、つまり百科事典の文章をですな、全部数字に置き換かえます。 ひとつひとつの文字を二桁の数字にするんです。Aは01、Bは02、という具合です。00はブランク、同じように句点や読点も数字化します。 そしてそれを並べたいちばん前に小数点を置きます。するととてつもなく長い小数点以下の数字が並びます。0.1732000631・・・という具合ですな。次にその数字にぴたり符合した楊枝のポイントに刻みめを入れる。つまり0.50000000・・・に相応する部分は楊枝のちょうどまん中、0.3333・・・なら前から三分の一のポイントです。意味はおわかりになりますな?」

「わかります」

「そうすればどんな長い情報でも楊枝のひとつのポイントに刻みこめてしまうのです。もちろんこれはあくまで理論上のことであって、現実にはそんなことは無理です。そこまで細かいポイントを刻みこむことは今の技術ではできません。中に詰められた情報量は楊枝の長さと関係ありません。問題はソフトウェアにあるのです。ハードウェアには何の関係もありません。それが楊枝であろうが二百メートルの長さの木材であろうがあるいは赤道であろうが、何の関係もないのです」

この話を読んだときは素直に「なるほど」と思いました。とっても面白い概念です。
なんだか、初めて微分を教わったときよりも全然わかりやすい説明です。
僕が凄いな〜と思ったのは、この話が20年も前に書かれたのに、現在のエレクトロニクス産業(特に情報分野)の状況を良く表しているからです。

今の世の製品は、いかに小さくて精密なモノを作るかがカギとなっています。日々、身の回りの電化製品は小さくなり、そしてPC関連について言えば、より速く、小さく、そして容量の大きいものに進化しています。こういった、エレクトロニクスの微細化はひとえに半導体の集積がモノをいってるわけです。

半導体産業で、経験則から導かれた大法則があります。それは、ムーアの法則という奴です。むかし、インテルのCEOであった、Moore氏が経験則から考案した法則で、

『半導体素子に集積されるトランジスタの数は、24ヶ月で倍増する』

というモノです。もうこれは神の言葉の様に応用物理の学会等では引用されるのですが、要するに、昔はバカでかかった電子機器がトランジスタの超集積によって小さくなって行ってる事にたいする数値的な裏付けですね。

で、ここからが言いたい事なんですが、

HDの容量が大きくなってるというのはまさに、このムーアの法則に従って生まれた超微細化技術が、村上春樹氏の"百科事典棒"の様にちいさなマッチ棒に情報を書き込むことを可能にしたということなんですね。

でも、私も含めてなんですが、
PCのハード等の容量が大きくなるということはなんだか入れ物が大きくなった印象を受けませんか?

80GB→160GBに増えたらそれだけ、量が多くなった気がしますよね。例えば、今まで10コファイルが保存できたとして倍になれば20コ保存できますよね。

しかし、実際は、(絶対的な意味での)容量は変化してないんです。
より細かく刻めるようになっただけなんですねー。わかりやすく言うと、

20コのファイルを保存できたのは、20コのファイルをHD側では10コと認識させる事ができたから結果的に保存できる容量が2倍になった。

という事になります。

160GBのHDというのは、(1 byteの空間を保ちながら)160 000 000 分割できるHDという事になりますね。

そうすると、理論的にはHDの容量に限界はない事になりますね。
あとは問題は、人間はどこまで細分化の技術を獲得する事ができるかが重要になってきます。特に、日本みたいな産業立国にとっては、その塀立て競争から引く分けには行きませんし、技術的な限界への到達は不況を導きます。

実際に、人間が加工できる物理的な限界がすぐそこに迫ってます。まず、始めの限界は細分化技術が、古典力学では表現できない量子の世界に到達した(現在がそう)時だと思います。

しかし、その量子論での応用を限界ととらえずに、ムーアの法則を良い方向に打破できる可能性もあると見るのが科学者としての責務でしょうか。これをクリアしたら、大きな人類の進歩になりますね。

その為にも、新しいアプローチがあるんですが、いずれまたお話しします。。。


カバーが新しくなって発売する様です。

世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド

世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド

  • 作者: 村上 春樹
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2005/09/15
  • メディア: 単行本


まあ、安くないのですが図書館になら大体置いてあるかと思いますし、なにせ、長編なので借り手もそんなにいないんじゃないかと思います。

実は、10年前に買ったハードカヴァー本がもうぼろぼろなので(私、お風呂で本を読むクセがありまして)、これを機に2冊目を購入しようかと思ってるところです。
うまくしてサインもらえないかな〜。







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